不動産投資の解説を見るたびに頻繁に目にする「積算価格」とは、不動産投資を行ううえで重要な数値です。その算出方法を知っているかどうかだけでも、不動産投資のリスクは大きく変わります。
積算価格は土地の価格+建物の価格=積算価格
積算価格は一般的に、土地の価値に建物の価値を加算したもののことを指します。
仮に土地の価格が2,000万円で、立っている建物の価格が900万円であれば、その土地の積算価格は2,900万円となります。
では、土地や建物の価格はどのようにして決まるのでしょうか。
土地の価格の決まり方
土地の価格は公示地価や路線価と土地の広さを基準に計算します。
例えば、路線価が50万円/㎡で50坪(165㎡)の土地の場合、
*50(万円)×165(㎡)=8,250万円
となります。
公示地価
国土交通省が毎年発表する一月一日時点の土地価格です。
二人以上の不動産鑑定士が介在しなければならないと法律上に定められていて、不動産会の鑑定士がそれぞれ現場に赴き、取引事例や土地から得られる収益を見越した分析・評価を行います。更に、そこから土地鑑定員会が審査や調整を行い、総合的に判定した価格として決定されたものが公示地価です。
現在最も信頼されている土地価格の基準です。
基準地価
基本的には公示地価と変わりません。異なる点は、七月一日時点での土地価格という点のみ。
路線価
国税庁の管轄している土地の評価価格のこと。
相続税や贈与税を算出する時の基準として適用されます。「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の二種類が存在しており、「相続税路線価」は公示地価の8割程度、「固定資路線価」は公示地価の7割程度に定められる傾向にあります。
その名の通り、それぞれ固定資産税と相続税の計算で用いられます。
土地の形状
一口に土地と言っても、その形は千差万別。取引する土地の形状も、積算価格に大きく影響を及ぼします。
まず、最も利用価値が高いと言われているのは角地。角地は、面する道路の中で一番高い路線価で計算した数値を出したうえで、更にそこに一割増しされた評価をなされることになります。
次に評価が高いのは二面の道路に面する土地。その場合は、評価額の高い方の数値のみで計算することになります。
最も土地として使いにくい旗竿型の地形は少々評価が控えめ。土地としての利用価値が低いと判断され、一般的に普通の土地と比べて3割減の評価を下されることに。
その他にも、商業地域だと増額されたり、工業地域に属する土地は減額されたりすることもあります。ただし、投資物件を検討する際に積算価格を求める場合、条件が極端に悪いなどの事情がない限りは、そこまで厳密な修正を施す必要は無いとも考えるのが一般的です。
建物の価格の決まり方
建物の価格は、当該する建物の再調達価格に、残耐用年数に対応した価値を乗算して計算されます。
再調達価格
再調達価格とは、建物を新たに新築した場合の建物の価格のことを指します。構造によって新築時の単価は決められており、鉄筋コンクリートで20万円/㎡、重量鉄骨で18万円/㎡、軽量鉄骨で15万円/㎡、木造で15万円/㎡となります。
例えば、木造の延べ床面積が80㎡の建物を想定した場合、再調達価格は
*15(万円)×80=1,200(万円)
となります。
耐用年数
耐用年数は利用に耐えることの出来る年数のこと。再調達価格を決めた際と同じように、構造によって耐用年数は異なります。建物の積算価格を算出する際には、主に残耐用年数が肝となります。
各構造毎の耐用年数は、鉄筋コンクリートであれば47年、重量鉄骨であれば34年、木造であれば22年となります。この値に築年数を差し引いたものが残耐用年数。
例えば、築年数が11年の木造建築であれば、新築のものと比較して、
*(22-11)÷22=50(%)
分の価値を持っていると認識されます。仮に耐用年数を築年数が超えてしまった場合、その建物は無価値とみなされてしまうので注意しましょう。
具体的に例を挙げると、築11年で再調達価格が1200万円の木造建築の建物の場合、
*1200(万円)×50%=600万円
という評価になります。
積算価格はあくまで目安
積算価格はあくまで大まかな目安です。実際は地主の事情で積算価格よりも低い価格で売りに出されているようなケースは数多く見られます。売りに出されている物件が安いか、高いか。積算価格を自身で算出できるようになれば、その見極めも容易にできるようになります。
より賢い不動産投資を行うためにも、是非とも積算価格の算出方法はマスターしておきましょう。
【参考URL】
http://www.across-c.jp/blog/investment/cumulative-price/
https://fudousan-kyokasho.com/cumulative-price-925#i
https://www.toshinjyuken.co.jp/aichi_nagoya/?p=558
https://www.ownersbook.jp/blog/basics_of_real_estate_investment/integrated_value/#i-7
https://smoola.jp/smolabo/404